ジュンケイのこだわり

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戦後日本プロ野球ペナントレースが再開された1946年、「吉田順計商店」が産声を上げました。
初代吉田順計、JUNKEI-GLOVEの礎となった職人の名は、そのままグラブのブランド名・社名、そしてその志は三代にわたり
「順計魂」として現代も生き続けている。

junkei glove master interviewジュンケイ3代目「吉田貴夫」×ジュンケイ2代目「吉田誠克」対談

(2代目) 初代の時代、開業当時から野球グラブの生産を行っていました。当時はまだ、グラブが年中フル生産できる時代ではありませんでしたが、1960年代にアメリカ、要するにベースボールグラブ生産としての貿易が始まり、吉田順計商店も多くのグラブを供給しました。
 1970年代には、国内ブランドによるグラブ供給も活発化し、OEMとしてグラブの生産供給を行うようになります。しかしその後、各ブランドの生産先が安価な海外生産に切り替わるようになりました。
 海外生産の場合、野球をよく知らない従業員が、単にグラブを言われたとおりに組み立てる作業を行います。野球をしたことも、興味もない人たちが機械的に流れ作業で組み上げていくグラブです。そこには野球というスポーツとグラブのつながりはありません。単なる組み立て工場。10人の作業員が居れば、10個の違うグラブが生まれてしまう、そんな生産状況です。数多くの国内メーカーも海外に生産拠点を移す中、当社のグラブは、多くのプレイヤーに支持され、数少ない国内生産グラブとして供給を続けてきました。
 JUNKEI-GLOVEのグラブで当時も今も変わらないのは、グラブを最初から最後まで同じ職人が一貫して作るということです。そして、初代から2代目の私、3代目へと製作技術、グラブ型、縫製、型付けなどグラブづくりの全てを受け継いでいます。これはとても重要なことで、グラブの形の安定性、クオリティに大きくかかわることなのです。
 先ほどの、海外生産のデメリットは実は海外に限ったことではありません。国内生産であっても、これが卓越した職人であっても、同じブランドにかかわらず、作る職人によって、違うグラブになってしまう。そんな笑えない話が実際にあるのです。現在でも海外生産品はベルトコンベア式で、完全分業式です。一部の作業員にとっては、グラブづくりをしているのではなく、革を単に加工しているとしか認識していない人もいるでしょうね。
 ひとつのグラブを職人が一貫して製作する。そしてその技術は長い年月をかけて次世代に受け継いでいく。同じグラブを同じクオリティで生み出していくのは、一朝一夕にはいきません。同じ工房で、何十年も一緒にグラブを作り続けて、やっと同じ型、同じクオリティのグラブを作ることができる。これがJUNKEI-GLOVEクオリティ(順計魂)なのです。
 そしてただグラブを作るというだけではなく、多くのプロ・アマ選手にグラブを供給するなかで、より良いグラブの開発を行うわけです。JUNKEI-GLOVEの型の多さは、おそらく業界中でもかなり多いほうだと思います。選手のポジション、プレイスタイルそして利き腕など、それぞれ多くのサンプリングの中で開発してきたグラブ型です。
プレイヤーの皆さんとともに開発してきたと言っても過言ではないでしょう。
 職人の腕、そしてグラブ型。安定させるのはもちろんの事、また年々進化もしていきます。グラブを製作するための機械や道具も独自に考案してきました。革自体も、野球グラブに最も良いと思われるものを選択します。70年を超える長いグラブづくり歴史のなかで、順計魂という伝統を受け継ぎながら、常に進化しているのが、JUNKEI-GLOVEです。

JUNKEI-GLOVEブランドの誕生と進化

(3代目) JUNKEI-GLOVEでは、グラブ製造はもちろんですが、修理の依頼も多いのです。そのなかで「革の擦り切れ・破れ」「紐切れ」「糸のほつれ」の3種が主となります。
 「革の擦り切れ・破れ」「紐切れ」に関しては、革の手入れや、キャッチング技術などで、ある程度寿命を延ばすことができるのですが、「糸のほつれ」だけは、有効な対策、アドバイスができませんでした。なぜなら「糸のほつれ」の原因は、捕球時の衝撃でグラブ内部の「結合糸」が切れてしまうからです。 
 しかし当社では、長年の研究を経て「糸のほつれ」対策、解決策としての製品を開発しました。それが「アラミドモデル」です。

アラミドモデル

「アラミドモデル」は、グラブ内部の「結合糸」にすべてアラミド繊維という強力な糸を使用することで、「糸のほつれ」のしにくいグラブへと進化させました。原因の対策を行ったとしても、それによってJUNKEI-GLOVEの特徴、特性を損なわないことは、最も大切な部分です。アラミド繊維を使用した糸は、大きく変わったようには見えませんが、糸の強度としては3倍(※通常モデル比)にもなり「糸のほつれ」しにくいグラブへと進化したわけです。

70周年記念の和牛グラブ

初代の考えでは、グラブグリスというのは、『革に油でしなやかさを与え、また捕球面を強くする』というものでした。多くの方は、グラブグリスというと、捕球面の革の浮きを防止するための接着剤との認識ではないでしょうか?当社のグラブの場合、グラブグリスは接着剤ではありません。
 JUNKEI-GLOVEの職人とグラブ型から生み出されるグラブの場合、捕球面の革の浮きを防止するというための接着剤はほとんど必要ないのです。ほぼ油分のみの補給で、捕球面はしっかりとインナーとくっつくわけです。70周年記念の和牛グラブの生産、販売を通じて、実際に手に取っていただいた方は、実感していただいたことと思います。

JG-01・伝統のグリス

そして70周年記念の和牛グラブの販売を通じ、今後もJUNKEI-GLOVEの伝統のグリスを安定的に供給できるようにと開発したのが、「JG-01・伝統のグリス」です。その名の通り、今はもう手に入らなくなった初代が使っていたグリスをほぼそのまま再現した製品です。
 初代からの口伝なのですが「うちの使っているグリスは表から塗っても使える」というものがありました。最初は半信半疑だったのですが、実際にメンテナンスグリスとして、表から塗ってみたのですが、とてもいい感じになったわけです。ただ、いい感じというだけでは製品にはできませんから、日本皮革研究所にグリスを塗った革を持ち込み、各種の試験もしていただき、そのエビデンスをもとに、メンテナンスグリスとして使用できることを確信しました。
 ただ、最初はオーダーグラブ生産のためのグラブグリスとしての生産でしたので、修理などの業務用としての販売のみでした。業務用販売直後より販売店様や、うわさを聞き付けたユーザー様からのご要望もあり、一般向けの商品としても「JG-01・伝統のグリス」の販売に至りました。

ロングピークエディション

野球グラブは新しいほど革が硬く、すぐに使用できません。そのため「湯もみ型付け」という手法で革を柔らかくして早くプレイできるようにします。しかし、その反面、野球グラブの耐久性(ピーク)が落ちてしまうというデメリットがあります。そうした状況を踏まえ、当社では革加工に独自の加工を施すことで「キップレザーの柔らかさとしなやかさ、ステアレザーの丈夫さと耐久性」を兼ね備えた理想の革の開発に成功。その特徴は、良い革の状態が長く続く。すぐ手に馴染み、型付けも思い通りに。「早くプレイできる、長くプレイできる」という理想をカタチにした、それがロングピークエディションです

グラブプロデュース

(3代目) 伝統を守りながらも、進化させ続ける。JUNKEI-GLOVEは、総合的なグラブのプロデューサーであると自負しています。ただメーカー自己満足ではだめで、実際のプレイヤーが手にはめ、プレイしてこそのグラブです。しかし、プレイヤー自体はグラブの専門家ではありません。JUNKEI-GLOVEはプレイヤーのプレイスタイルに合ったグラブを、グラブの専門家として、プロデュースしているのです。
(2代目) グラブづくりにおいては、各グラブの手を入れた時の感覚・感触、ポケットの位置、縫製などの細かいところひとつひとつにも、プロをはじめとしたプレイヤーの皆様のご要望を実現できるように、順計魂をもって、グラブづくりを行ってきました。
(3代目) すべてはプレイヤーのために。グラブの供給とそのメンテナンス、『野球グラブのことならばJUNKEI-GLOVE』と言っていただけるグラブづくりを続けていきます。

junkei WORKS最高峰のグラブへ

  • オーダー受注

    グラブの基本形・色など自分のプレースタイルに合わせた仕様をオーダー用紙に記入します。

  • グラブ革の確認

    染め上がった革の中から良い部分だけを選別します。

  • 裁断

    革質・繊維の方向などを見極めて、グラブの出来上がりをイメージしながらパーツを裁断します。

  • 厚さ調整

    グラブのバランスを整える為に、パーツごとに厚みを調整します。革の性質を熟知し、マニュアルだけに頼らず厚みを変える事が大切です。

  • 印・穴開け

    グラブレースを通すための穴を開ける作業です。ウェブの形状や本体の特徴に合わせた穴を開けます。

  • 刻印・刺繍

    品番やロゴなどを革に焼き印し、刺繍を加工します。

  • 裁縫

    数種類の特殊ミシンを使い、それぞれの部分に応じた縫製をします。

  • 返し

    裏面に縫い合わされた革パーツを表に返します。その後も縫製を繰り返し形を作っていきます。

  • グリス入れ

    革の乾燥による劣化を防ぐ為に、グリスと呼ばれる油を内側から入れます。

  • 革紐通し

    革の紐を穴に通して繋ぎ合わせていくと立体的になります。

  • 仕上げ

    出来上がったグラブの形を整える作業です。各種ハンマー等を使い、型に合った形状に仕上げます。

長い年月をかけて進化し続けてきたCommitment of JUNKEI-GLOVEJUNKEI-GLOVEのこだわり

  • 型の改良

    型には完成がなく、77年経った今も日々改良を続けています。その為ジュンケイのグラブは日々進化しているのです。

  • 革の改良

    野球用グラブにとってどの革が一番適しているのかを、キップ・ステアやその産地だけにとらわれずに、その革の本質を見抜き良い物を探求し続けています。

  • 糸の改良

    革と革を繋ぎ合わせる糸、この重要性にもジュンケイは疎かにせずより耐久性のある糸を探し求めています。

    アラミド糸を使用した捕球用グラブの特許特許第 6220633号
  • 道具の改良

    長年、道具は特注で作った物・自作の物を使用しています。グラブ作りにより適した道具を作る事で、より良いグラブ作りが出来ます。

  • グリスの伝統回帰

    グリスは本来、革の油分を与える役割という事が忘れられている現代に、再び蘇らせるためJG-01というグリスを開発しました。